非常に感受性が強く敏感な気質を指すHSP(繊細さん)。今回はHSPについてより具体的な事例を交えて解説いたします。
その1はこちら
1.HSPを掘り下げる
今回の記事では、HSPを左利きと置き換えてお話してまいります。
私たちが暮らす日本は典型的な右利き社会。道具や設備は右利きの人に合わせて作られていることが大半です。
たとえば、お金の投入口が右上にある自動販売機。左利きの人は、体を正面からずらさないといけないため小さいながらストレスを感じます。とりわけ紙コップ系の自動販売機の場合、扉の開く向きが逆になるので取り出すのが大変です。
駅の自動改札機も同じ。右側にたいていタッチパネルがあるため、左利きの人には非常に使いにくいです。
学習にも支障が出ます。
筆の入り方が右向きになる書道は、左利きの場合、不自然だったり書きづらかったりと大変な思いをします。
横書きのノートを使っての学習では、「左から右」へ文字を並べていくので、書いた字の上に左手がかぶってしまい、小指側の側面が真っ黒になることが当たり前。
食事も大変です。
左手でお箸やスプーンを持つので、右利きの人が隣にいると高い確率でひじが当たります。
回すタイプのドアノブは、ほとんどが「握って右に回転させる」やり方。左利きにとったら回しにくい!
とにかく日本は右利き優先社会です。
左利きは少数派。
それもあって、左利きを矯正させられた経験を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
多数派・少数派に分かれた場合、大抵は多数派の方に合わせざるを得ないことが多いので、少数派の人は少し肩身が狭く感じてしまうかもしれません。
ただ左利きの人は周りに「左利き」と目に見えてわかります。
そのため、左利きでは使いにくい環境や状況も理解してもらいやすく、対策もしてもらえるはずです。
左利きの本人も、右利き社会対策を熟知しているでしょう。
2.HSPは理解されにくい
前段が長くなりましたが、ここからが本題です。
過敏すぎることによる生きづらさを感じているHSPは、目に見えた特徴が見当たりません。
本人の中にある、心の目で見た感じ方の違いのため、周りの人はおろか、本人ですら認識するのが難しいのです。
つまり、HSPの人は自分が少数派の「左利き」であることを理解しておらず、頑張って多数派の「右利き」であろうとしているのが現状です。
でも実際に、左利きの人が右利きの人と同じように右手を主に生活することは無理があります。
感性の過敏さを、HSPではない人と同じ感性で生活することはできません。無意識に心の目で、いろいろなものが見えてしまうのです。
見て見ぬ振りはできない。どうしても、見えたものに対して動かずにはいられない。
考えすぎ、神経質、心配症、いや、お節介・・・。
見たもの、感じたものには目を逸せないのです。
そして自分で自分の首を絞めてしまうというお決まりの結末、キャパオーバーです。
その結果、自分に自信をなくし、生きづらさを感じてしまいます。
3.HSPの人はやさしい性格の持ち主
HSPの人はその繊細さから、対人関係において余り相手を責めることをしません。なぜなら、相手のことを優先する傾向があるためです。
でもその半面、相手のことを気にするあまりに些細なことでも
「自分が悪いのではないか」
「自分のせいだ」
と自分を責め、悪い方向に考えてしまう傾向もあります。
そして、負の連鎖は続き、
「気を悪くしたかも」
「余計なことをし過ぎた」
「嫌われた」
と、悪い状況ばかりが脳内を駆け巡り、穴があったら入りたい、相手から逃げ出したい、私がいたら相手に迷惑がかかる・・・と、相手からしたら「なんで??」と思うほど、ひどく自分を責め、急に距離を置いてしまうのです。
こんな風にネガティブ思考で自分に自信がないため、周りからの怒りの標的にされることも多いかもしれません。
また自分の本音を隠してしまうことから人との関わりが苦手という特徴があります。
見え過ぎなければ保てた距離感。
見え過ぎてしまったが故に近づきすぎた距離感。
一定の距離
一定の関係
一定の仕事量
これが保てたらどんなに楽でしょうか。でも、わかってはいるけど保てない。
HSPとは人よりも感度の高いアンテナを常に張っている状態、アンテナでキャッチした情報を無視できないのです。
このアンテナは、小さな仕草や言動で相手の気持ちを汲み取ることができたり、いろいろなものに深く感動できます。
その反面、さまざまなことを敏感に感じ取り過ぎて、行き詰まりを感じることも。
素晴らしい能力だけど、苦しい能力でもあります。
裏表が真逆な意味を持つ「気質」。
私も何十回、何百回と同じことを繰り返しています。
もう見ることをやめよう。
聞く事をやめよう。
じっとしていよう。
安請け合いはやめよう。
何十回、何百回と自分に言い聞かせたことでしょうか。
ただそれでも、
・無意識に飛び込んでくる情報。
・情報を処理してしまう脳内。
・一度思いついたら、やらずにはいられないお節介。
そして、
・時間がない。
・余裕がない。
だけど、止まらない脳内思考。
本当、脳内思考の強制終了ができたらいいのに、と思います。
でも、それを絶対に終わりにしてはいけないのです。心の中には常に、真逆な私がいるのです。
4.あなたのHSP度をチェックしてみよう
もしかしたら、あなたは自分もHSPかもしれない・・・と思っているのではないでしょうか。
実をいうと、HSPはセルフチェックで、自分がその傾向にあるかどうかをある程度、確認することができます。なので、そんな方はHSPのセルフチェックを試してみてください!
HSPセルフチェック
以下の項目に少しでも当てはまるのなら「はい」、全く当てはまらないかあまり当てはまらない場合は「いいえ」と答えてください。
(1)自分をとりまく環境の微妙な変化によく気づくほうだ
(2)他人の気分に左右される
(3)痛みにとても敏感である
(4)忙しい日々が続くと、ベッドや暗い部屋などプライバシーが得られ、刺激から逃れられる場所にひきこもりたくなる
(5)カフェインに敏感に反応する
(6)明るい光や強い匂い、ざらざらした布地、サイレンの音などに圧倒されやすい
(7)豊かな想像力を持ち、空想に耽(ふけ)りやすい
(8)騒音に悩まされやすい
(9)美術や音楽に深く心動かされる
(10)とても良心的である
(11)すぐにびっくりする(仰天する)
(12)短期間にたくさんのことをしなければならない時、混乱してしまう
(13)人が何かで不快な思いをしているとき、どうすれば快適になるかすぐに気づく
(たとえば電灯の明るさを調節する、席を替えるなど)
(14)一度にたくさんのことを頼まれるがイヤだ
(15)ミスをしたり、物を忘れたりしないようにいつも気をつける
(16)暴力的な映画やテレビ番組は見ないようにしている
(17)あまりにもたくさんのことが自分のまわりで起こっていると、不快になり、神経が高ぶる
(18)空腹になると、集中できないとか気分が悪くなるといった強い反応が起こる
(19)生活に変化があると混乱する
(20)デリケートな香りや味、音、音楽などを好む
(21)動揺するような状況を避けることを、普段の生活で最優先している
(22)仕事をするとき、競争させられたり、観察されたりすると、緊張していつもの実力を発揮できなくなる
(23)子どものころ、親や教師は自分のことを「敏感だ」 とか 「内気だ」 と思っていた
いかがでしょうか。23の質問のうち12個以上に該当した場合は、HSPの気質があるとされます。
また当てはまるものが多いほど、HSPの度合いも高いとされます。
ただ、逆に「はい」が1つか2つしかなくても、その度合いが極端に強い場合は、HSPの気質があるとされます。
引用:ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。
エレイン・N・アーロン [著]・冨田香里 [訳] 講談社 / ソフトバンク文庫
ちなみに、私はほぼパーフェクトでした。
とりわけ、カフェインには年々敏感になっています。数年前までは大して問題がなかったのですが、だんだんカフェイン入りのものを口にできなくなりました。
そのうち、香りだけでも頭痛がし始め、さらに今では気持ちが悪くなってしまうこともあります。
調子が悪いときは写真を見ただけで香りを感じ、気持ちが悪くなってしまいます。
HSPのせいかどうかは分かりませんが、カフェイン過敏は悩みの種です。
意外とカフェインにあふれているこの社会。人付き合いにもカフェインは付き物です。
街を歩けば香るカフェイン。
マスクなしでは厳しい自分が少し悲しかったりする今日この頃なのです。
5.今日のポエム
「うごく」
こころがうごく
魂がうごく
からだがうごく
こころの奥の奥のずっと奥で
うごかないで
と叫んでいても
聞こえないふりをして
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