矢島真沙子

美容の力で見つける生きる価値「あなたはひとりじゃない」

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年齢を重ね、病気やケガで見た目が変わったことに気づくと、どんな気持ちになるでしょうか。人によっては「もう昔のようには戻れない」と心が沈み、日々の生活に楽しさを見いだせなくなるかもしれません。

埼玉県東松山市の眞子桂子(以下、眞子)さんは、見た目の変化により自分に自信をなくした人に寄り添い、生きる力をサポートする「統合美容家」として、見た目が蘇れば心も蘇る=「美容で生きる力」をコンセプトにさまざまな活動をされています。

コンプレックスを乗り越え、苦しむ人に手を差し伸べる美容家

眞子さんご自身も、過去に病気やケガで寝たきりや車いす生活を送っていた時期がありました。数回の手術跡が体に残り、見た目が変わってしまい、心身ともに不安定だったとのこと。

体調が回復した後、「自分と同じように病気やケガで見た目に悩み、生きる力をなくしている人がいるのではないか」と、好きな美容の学びを深めていきます。

そして、医療美容師やメイクセラピスト、福祉関係など、数多くの資格を生かして「美容×医療×福祉」を統合させた美容家となったのです。

見た目と心を整える場所~KAMI結の開設~

眞子さんは2015年に、家族ケアもできる訪問美容事業を立ち上げ、翌年に「医療美容室けあるーむKAMI結」を東松山市にオープンしました。

主に病気やケガで辛い思いをした方へ見た目と心のケアを行います。

眞子さんは医療知識も含めた専門の美容技術を生かして、抗がん剤治療の副作用による脱毛、薄毛や脱毛症など、ウイッグカットや頭皮環境の改善を中心に、髪や肌の悩みを解決しています。

また東洋医学や心理学などの側面から、心のサポートも同時に行います。一人ひとりが持つ悩みに向きあいながら、その人の持つ「本来の美しさ」を蘇らせます。

高齢で以前のように体を動かせなくなったり、病気やケガなどにかかったりすると、外出も思うようにできなくなります。当然、美容院に行くことに抵抗を持つことも多くなるでしょう。

KAMI結は「外に行きたいけど外に出られない」という声に応えて、訪問美容にも対応しています。 病気やケガにかかった人、家族の介護、育児中など家から出られない人のために、訪問先の室内で美容室のサービス(カット、カラー、シャンプーなど)を提供しています。

日々の生活に追われ、生活するだけで精一杯という状況では、ご自身の見た目は後回しになりがちでしょう。そんなときに見た目を整えれば、心にハリが生まれます。

そうすると、「誰かに見てもらいたい」「外に出たい」と、気持ちが外向きに変わってきます。その結果、自分だけでなく、一緒に暮らす家族にもやさしくなれます。

見た目を整えることは、自分の心身を健康にするだけでなく、まわりに幸せをもたらすことにもつながってくるのです。

あなたはひとりじゃない!体と心をケアする女性専用サロン

眞子さんは3人のお子さまを育てながら、介護を同時に経験されました。1人で頑張り続け、体調を崩したこともあったそうです。

そこで「もしかすると、自分と同じように1人で苦しんでいる人がいるのではないか?」と気づき、新たに2021年サバイバーの声を集め女性専用の居場所のメディカルビューティケアけあるーむKAMI結サロンを作りました。

このときが介護者支援・介護予防・ボランティア活動を始めた時期です。

KAMI結サロンは、がん治療に伴う頭皮ケア・髪質改善を目的としたアピアランスケア専門サロンで、そこではがん治療の副作用の脱毛など、ウイッグを必要とし、見た目に悩む女性のためのプライベートサロンです。

罹患した人の中には、働き盛りや子育て中、あるいは介護の真っ只中という方もいますが、眞子さんご自身が1人で悩みを抱え苦しんだ経験があったからこそ、同じ境遇のひとたちの気持ちに寄り添うことができます。

なので、もっと楽に生きて欲しい、あなたは1人ではないという思いの伝わってくる、温かい居場所になっています。

地域支援から専門家同士の連携~法人の立ち上げ~

高齢者の中には、病気やケガをきっかけに外に出なくなり、孤立した結果、生きがいを見いだせなくなった人も多くいます。

眞子さんは地域の高齢者支援を目的に、専門職の仲間と連携して、介護予防・認知症予防のプログラムを開催してきました。

そして、「一般社団法人医介連携いきがい協会」を2021年に立ち上げました。

地域の高齢者が生きる価値を持って暮らすためには、地域の専門家による連携が欠かせません。そのため、当事者(本人と介護者)・病院・行政・支援者がつながり、地域で支え合う仕組みをつくり、苦しんでいる人たちの心のケアを行っています。

コロナ禍での情報発信~あなたへつなぐプロジェクト~

ここ最近のコロナ禍で、サロンを訪れること、訪問美容を行うことが難しくなっています。

また、地域で人が集まり活動をすることもままならなくなりました。 そんな中で制作された当事者目線での「あなたへつなぐものがたりプロジェクト」。

このプロジェクトは、映像を通して「自分らしく、よりよく生きる」人たちを応援するもので、2022年に映画化もされます。

眞子桂子さんから映画についての情報コメント

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2021年、一般社団法人医介連携いきがい協会の代表理事に就任し、新たなプロジェクトを進めています。

医療や介護などの「支援者」に視点を当てた映画「あなたへつなぐものがたり」は、劇中で当事者が自分のことを話すノンフィクションの部分と主人公と当事者の関わりを描くフィクションの部分を融合させた「今までにない形の作品」です。

映像を通じて自分らしく幸せに生きるための応援メッセージをお伝えします。 2022年2月20日にはシンポジウムを開催し(川越アトレ・スペースセブンホール)、その際に映画も上映します。 またその後は、全国へ届けられるよう上映を希望される自治体も募集しています。

おわりにーー

思いがけない病気やケガで、見た目が変わってしまう…。突然身近な人の介護が必要になり日々自由に動けなくなる…。

そして「なぜ私だけが」と苦しくなり、1人でふさぎ込んでしまうことがあるかもしれません。

でも、そんなときこそ「あなたは1人ではない」ことを思い出してください。

あなたの気持ちを理解して、受けとめてくれる人や場所が必ず存在します。

人間は何歳になっても、いきがいを持ち、心身ともに健康に生きる権利を持っています。見た目を整えて、溌剌とした心を取り戻す。地域とつながり、仲間がいることを実感すれば、生きる楽しさを感じることができるでしょう。 

書籍紹介

眞子さんは2020年4月にシニア向けの絵本「人生の宿題~その先にあるもの~」を出版しました。

医療や介護に携わる方はもちろん、高齢の親を持つ方や1人で悩んでいる方に向けてのメッセージ的な作品です。

この絵本では生きる意味をやさしい詩のような語り口調で表現しています。折に触れて声に出して読むことで、「わたしは大丈夫」と生きる勇気を与えられます。 

詳しいブックレビューはこちら

また2023年3月には、シニア世代の方に向けての新刊「人生のおてほん キクコさんとわたし~年の差三十八歳のお友だち」を出版。人生を謳歌する自己肯定感を高める絵本形式でお伝えする作品です。

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