自社(自分のお店)の商品・サービスの売上が伸びない・・・そんな社長や個人事業主が陥りがちなワナがある。それは、次のような考えだ。
「良い商品・サービスを安い価格で提供すれば自然に売れる」
「ポジティブ思考でお客様に奉仕していれば利益は後からついてくる」
「大手企業のように広告を出せばお客さまは集まる」
これらは営業やマーケティングの成功法則としてよく言われているが、残念ながら現実には当てはまらないことが多い。
もちろん、商品・サービスに欠陥があったり、ネガティブ思考で販売したりするのは論外だ。
しかし、良い商品・サービス=売れると言う図式は間違っている。
では一体、どうすれば売れるのか?今回は商品・サービスが売れるメカニズムをお伝えしたい。
1.こだわりは諸刃の剣
経営はある意味ロマンでもある。そのため、商品・サービスにこだわりを持つことは大切だ。
しかし、こだわりは時に諸刃の剣と化すことがある。
僕が携わっている電子書籍の売上を例にお伝えしよう。
IT化が加速する中、電子書籍は単に紙の本が電子化されただけでなく、事業や啓蒙活動の広告代わりとしての活用など、さまざまな用途がある。
ただ、事業や啓蒙活動の広告として活用するなら、その認知度を高めるためにも本を買いたくなるタイトルと、最後まで読み進めたくなるようなワクワクする文章が必要不可欠だ。
ところが、自身のこだわりから、売れないタイトルやタイトルにそぐわない内容を盛り込もうとする方が意外と多い。結果、何を伝えたいのかわからない本となり、売上は伸びない。
事業や啓蒙活動の広告として活用することが目的なら本末転倒だ。
そもそもマーケティングとは売りたい商品・サービスを売ることではなく、お客さまが求める楽しめる商品・サービスを作って売ることである。
つまり、本であれば著者目線ではなく読者(お客さま)目線が優先される。なので、こだわりは大切だが、こだわりを持ちすぎると、売れないのだ。
2.倒産危機から復活した白鳥の宿
お客さま目線でセールスポイントをアピールし、倒産危機から復活した事例をご紹介しよう。
新潟県にますがた荘という旅館がある。
実をいうと、この旅館はコロナ禍以前に倒産危機に陥ったことがあるそうだ。
バブル期は5000万円近い売上があったとのこと。しかし、バブル崩壊後は客足が遠のき、3代目のご主人は運転資金をアルバイトをしてまで埋めていたそうだ。
そんなときに奇跡が起きた。
九州から来たお客さまがこんな言葉を発した。
「ここは白鳥が来るんですね、まさに白鳥の宿ですね」
白鳥は昔から毎年飛来していたので、経営者にとっては当たり前の情景だった。そのため、それはセールスポイントにならないと思っていたとか。
でも、僕たち人間は同じ日本人でも十人十色。誰かの日常は誰かの非日常なのだ。
そして、ますがた荘は「白鳥の宿ますがた荘」としてセールスポイントをアピールすることになり、全国からたくさんのお客さまが集まる人気宿になった。
あなたも試しに「白鳥の宿ますがた荘」とググってみて欲しい。最初のページに上がってくる。
今はコロナ禍なので、経営は簡単ではないだろう。しかし、一度お客さまが集まるしくみができていれば、アフターコロナでは間違いなく客足が戻るはず。
本項参考文献:小予算で優良顧客をつかむ方法(神田昌典著)
3.まとめ
このように、あなたもこだわりを捨てて、お客さまの求めることをリサーチしよう!そして、自社(自分のお店)の商品・サービスのセールスポイントを見直すことをおすすめする!
すでにあるもの、すぐにできることだけど、あなたは当たり前だと思っていることがあるはずだ。
「誰かの日常は誰かの非日常」を前提にすれば、セールスポイントは簡単に見つかる。まさに低コストでできるマーケティング活動である。
ただし、一つだけ注意していただきたいことがある。それは、市場自体が小さすぎると、非日常を通り越してアブノーマルな世界と思われてしまう可能性がある。
事例でお伝えした旅館は、観光という大きな市場があり、その中の宿泊という市場の中で、ホテル・旅館・民宿・民泊・素泊まり施設・キャンプ場・・・などのカテゴリーの中で白鳥が飛来する名所という差別化を図ったものだ。
なので、市場規模が一定以上のものかどうかは必ず確認しよう。