シェアハウスで暮らす2人の子を持つ女性ルビーの日常を描く連載エッセイの第四弾です。第一弾はこちら
▼目次
1.おせち料理にチャレンジ
12月26日、クリスマスパーティーを終えて、リビングで片付け中。
「次は正月だね〜。みんな遊びにくるかな?」
「来るでしょう。誰も来ない正月って今までなかったし」
「俺さ〜おせち料理作ってみたいんだよね。ルビーは作った事ある?」
「あるよ〜!めちゃ大変だけど、子どもたちが小さい時はちゃんと作ってたな。家でも作れるよ。作ってみる?」
「やった!じゃ教えてよ。今年は来てくれたみんなにおせち料理を振る舞う!3人で作ろう!」
「僕も作ってみたいです」
よーし!作戦会議。
「おせち料理の定番と言えばなんだでしょう?僕はあんまりわからないです」
いいんやでホイミくん。
「栗きんとん。黒豆。伊達巻きじゃね?」
そうだね。タツくんそれだ。
というわけで、大晦日を前に買い物済ませて3人でキッチンへ。
まずは黒豆を作ろう。
黒豆の漬けだれを用意。
砂糖、塩、しょうゆ、重曹を鍋にかけて一煮立ちさせたら、冷ましておく。
黒豆はしっかりと洗って水切りして、漬けだれ+水に一晩浸す。
一晩浸した黒豆たちを鍋にかけて一煮立ちしてアクをすくったら、落とし蓋をして40~50分弱火で煮詰める。
ゆっくり冷まして豆にしっかりと味を含ませてできあがり。
「比較的簡単なレシピを考えたよ」
「いいね。ルビーのレシピは俺たちでも楽しく作れるな」
えっへん!って思いながら
「次は栗きんとん作ろう。栗きんとんはガチで作るとコストかかるから〜さつまいもと天津甘栗で作ろう」
「そんなんでできるんかい?」
やりましょう!30年培った主婦発揮ですよ。
さつまいもと甘栗を準備して
さつまいもは生を使うならよく洗って皮のまま1㎝角位に切ってレンジでチンしてポリ袋へ。
最近はスーパーで焼き芋売ってるので、それを使うのもいいね。
焼き芋は硬い皮を外してポリ袋へ。
さつまいものポリ袋に液体の甘味料を入れ、塩少しを入れて揉みながら混ぜ合わせます。
混ざったら甘栗を入れて軽く混ぜたら出来上がり。
「おお!栗きんとんできたわ」
「あっという間の出来事だね」
液体甘味料はオリゴ糖とかガムシロップとかハチミツとか、手近な材料が使えるね。
お砂糖等もokですが、液体の方が滑らかに混ざりやすい。
「これかわいい」
「さつまいもあんをラップのせて甘栗を入れて包んだの。かわいいでしょ」
「これだとみんなで取り分けるのに良いね」
3人で地味に量産してみた。
「伊達巻きって卵焼きと違うの?甘さ?」
「卵焼きと伊達巻きは似て非なり〜奥が深いよ」
卵をよく溶いてザルで漉します。
だし汁は卵液の1/3くらい。
はんぺんをポリ袋に入れて滑らかになるように揉む。
ボウルに液体甘味料と塩をお好みで入れたら準備した3つを合わせてよく混ぜる。
強火にかけたフライパンに油を薄く敷いてボウルの液を均等に全量入れる。
10秒〜15秒程したら極弱火にする。
アルミホイルをかけて15分。
全体に火が入ったら巻き簀に乗せてゆっくりと一気に巻く。
巻き終わりを下にして冷めるまで放置。
冷めて落ち着いたら輪切りにして出来上がり。
「はじっこ食べていいよ」
「おおお。伊達巻と卵焼きは別物ですね」
「甘過ぎなくていいわ。さすが酒飲みルビー」
三品できあがって大満足‼︎
「お重箱ってあるんですか?」
「あるのよ、昔の住人がお花見用に買っていたみたいね」
「じゃあ詰めよう」
「お願いしますね。私はご近所さんからいただいたお野菜で煮物作るから」
「みんな来るの楽しみだね」
2.元日と元旦と正月と
「5・4・3・2・1、正月Yeah!明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします。乾杯!」
「何回乾杯すんだよ」
1月1日の0:00
リビングで12月31日の昼から年越しの宴が行われております。
今、何人居るんだろうか?
いつも以上に人の出入りがすごいね。
「今回はおせち作ったからね〜期待してよ〜」
「タツ君がおせち作ろうって提案してくれたので、僕もルビーさんに習って作りました」
ホイミ君が珍しくアピールしてますね。いいね。いいね。
「おせち料理ってお家で作れるんだね。作る人初めて聞いたわ」
「私の実家も近所のスーパーで予約してたな」
そうだよね、今どき作らないご家庭の方が多いか。
時間もかかるし、材料揃えるとお金もかかるし。
タイパとコスパってやつだね。
「ルビー、おせち料理はもう食べてもいい?」
「いいけど、おせち料理って元旦に食べる物らしいのよね」
「0:00過ぎたら元旦じゃないの?」
「うーん、厳密に言うとね…」
「今は元旦ではありません。
1月1日の元日です。元日は1月1日の終日を言うのです。
そしてお正月とは、1年の1番初めの月のことを言います。
特に元旦から7日(地域によっては15日程度まで)の期間がお正月と認識されています。
タツさんの言う元旦とは1月1日の朝の事を言います。旦という漢字は地上におひさまが登りましたよ。という意味なのです」
顔見知り程度だけど、最近よく遊びにきてる男の子だね。
よくリビングで何かを熱弁してる子。大学生なのかな?
若いのによく知ってるね。
誰の友達なのか、何の繋がりの人なのかわからない事が多い。
シェアハウスとかゲストハウスあるあるだな。
「おお!じゃあ、元日になったからおせち料理を食べても良いよな?」
「いいえ、違います。
おせち料理は元旦にいらっしゃる年神様を祀る為の料理ですので、やはり1月1日の朝に食べるのが本来だと思います」
「私の実家は東京でさ、1月1日の朝にお重箱とお雑煮が出てきてたな」
「俺は大学が北海道で、友だちの実家に呼ばれた時には大晦日に年越しそばと一緒におせちのお重が出てきて、食べていたなあ」
おお。みんな素晴らしい意見交換してて良いね〜
「そうですね、日本各地ではいろいろな風習や習慣があります。ただ、一般的に日本の慣習としては…」
「うん。この家には今たくさんの人がいて、みんな各家庭でも違うだろうしね〜。よし!じゃあ食べてヨシって事で。こんだけ人が出入りしてるこの家には、年神様も陽が昇る前に来ちゃうかもしれないしね」
「いいね〜。ルビーのみんな幸せ肯定感。好きだわ」
「よし!それでは各自で取り皿と箸を準備してね」
「それでは〜乾杯しますよ!」
「かんぱ〜い」
3.知ればもっとおいしくなる?
「スゴいね。ちゃんとお重箱に入ってる!この家に上等な物があったとは」
「お花見用に買ったやつだよ」
「開けよう〜」
タツ君が張り切ってオープン
「わ〜‼︎‼︎スゴい‼︎‼︎」
3人で作った黒豆、栗きんとん(茶巾絞り)、伊達巻の他に私の作ったお煮しめの他にも紅白なますやかまぼこ、数の子も少し用意して彩りよく仕上げてみた。
「何度もすみませんが、一段目のおせち料理は僕たちが作りました」
ホイミ君はよっぽど嬉しいのか何度も言うね。
「おせち料理って一つずつ意味があるんだっけ?」
「はい、ご説明しましょう。
黒豆 まめ(健康で勤勉)に暮らせるように。
栗きんとん 栗は「勝ち栗」と呼ばれる縁起物。きんとんは漢字で「金団」と書き、財宝を意味する。
伊達巻き 書物の巻物を思わせる形から、知識、勉学向上の願いがこもっている。
いかがですか?
続けてなますは…」
「為になるね〜ありがとう。君の知識は素晴らしい‼︎さらに向上するように伊達巻きを食べなさい。俺も食べて知識上げるわ」
「おせち料理を買うと説明書が付いてるけどなかなか読まないよね」
「そうだね、おせち料理の一個づつの名前すらわかんないもん」
みんな興味持つのね。
意外だったわ。
日本の習慣とか礼儀とかだんだん風化する傾向だけど、良い事は繋げていかれたら良いね。
「ただいま〜あけおめ!」
「お〜おかえり。ことよろ!」
どんどん人が来るね。
「さ〜飲むぞ〜!」
賑やかで何より。
今年も良い年になりますように。