リーダーの選択は事業の先行きを大きく左右するもの。とはいえ、人は何かを選択するとき、心理状態によって判断を変えることがある。
そこで今回は、広告戦略に携わるリーダーを事例にビジネス心理を紐解いていく。
▼目次
1.事例からみるリーダーとしての決断力
まずは、次の2つのストーリーを読み比べてほしい。
【ストーリー1】
売上アップのために、今日までに代金全額先払いなら50%オフで広告が出稿できる有名広告代理店に、自社商品の宣伝を依頼したが、お金が足りないことに気づいた。明日以降でも定価なら商品の宣伝はしてもらえるが、広告を出すか出さないか・・・悩みどころだ。
【ストーリー2】
人手不足のため新規依頼を受けていなかった有名広告代理店から、今日まで代金全額先払いなら50%オフで広告が出稿できるとの知らせが入ったが、同時に別の案件で50%オフの広告代金と同額の損失が発生した。広告料は50%オフだが、依頼するかしないか・・・迷うところだ。
どうだろう?あなたはそれぞれのストーリーでどちらの判断を下すだろうか。
ストーリー1、ストーリー2ともに広告を出す場合、会社としては定価分の経済的コストが発生することになる。
ところが、統計調査では、ストーリー1では広告を出さないと答える人が多く、ストーリー2では広告を出すと答える人が多いという結果が出ている。
仮に広告代金が20万円だとすると50%オフは10万円。ストーリー1、ストーリー2ともに会社としては20万円の支出だ。
でも、前者は10万円の支払いで良いところ、20万円支払わなければならない。だが後者は全体の支払いは20万円でも、広告料は10万円で済む。
つまり、広告に対する価値は10万円が妥当と判断しているため、2つのストーリーにおいて判断が異なるというわけだ。
これは、あなたがリーダーとして何に価値を置くか非常に重要な問題である。
どちらのストーリーもイエス(広告を出す)なら、どんぶり勘定グセがあると思われても文句が言えない。どちらもノー(広告を出さない)なら、攻めの戦略が立てられない保守的な経営者と思われるかもしれない。
もちろん、この問題に正しい答えはない。
だが例に挙げた2つのストーリーにおいて、心理状態が大きく影響していると言えるのは確かだ。だからこそ、心の会計簿はしっかりつける必要がある。
2.ネガティブな状況でこそ真価が問われる
ネガティブなことが発生したときの心理状態で人はどんな判断をするか?
お伝えした事例は、あなたが会社でリーダー的存在や何かのプロジェクトのトップなら、その舵取りを任せて良いか真価を問われる事例だ。なので、ビジネス場面ではどんな心理状態で、どのような判断が必要なのか、しっかり頭に叩き込もう。