一戸建てのおうちに住むなら広い庭のある家がいい。実のなる樹を植えて、好きな花でいっぱいにして、そしてハーブなんかも植えちゃって、夕食時にはちょっと庭に出てハーブを摘んで料理に使って…
ありがちな私の夢はちゃんとかなって、田舎のおかげで広い庭のある家に住めることになりました。しかし、ふとハーブを眺めていて不思議に思ったことが…
1.ハーブって何?
70年代生まれの私の実家は、ありがちな昭和チックなおうちでした。
庭には松とかツバキとかモッコクとかツツジとか、和風な植栽。
食事も和食が基本でたまに昭和の洋食。ハンバーグとかカレーとかナポリタンとかのあれです。
当然、実家にも友だちの家にもハーブなんて植わっていなかったし、食卓にハーブを使った料理が並ぶこともなかったし、私が「ハーブ」をちゃんと意識して食べたのはたぶん高校か大学へ行ってから。
バジルのパスタか、マルゲリータだったか、おそらくバジルがファーストハーブ。
その後もハーブに関する知識はあんまり増えなくて、たまにレストランでチキンにローズマリーがふってあって、内心ローズマリーはおしゃれだけど無いほうが味は好み・・・とか思ってるくらいのハーブ初心者。いや、ハーブ難民??
ハーブティーも好きじゃないのに、なぜハーブガーデンに憧れがあるのか我ながら不思議です。
そんな私は、庭が手に入ったからと、ホームセンターで安価に売られている可愛らしいハーブ苗を庭にほいほい植えてみました。
2.ミントを地植えしてはいけない
これはハーブあるあるといっても過言じゃありません。
ガーデニングする人なら絶対知ってるくらい基礎中の基礎知識!もちろん私は知らなかったけど、ハーブ音痴の私でもミントくらいはわかったので植えちゃったんですね。庭に。また、こともあろうに玄関前に。
ホームセンターで見た苗は、愛らしい柔らかい、丸くてちいさい葉っぱの10㎝くらいの丈で、つまむと良い匂いもするし、グランドカバーに良さそう…と植えてみたところ、、、
ミントって膝を超えるくらいの丈まで成長するんですね。しかも葉っぱは、これがミント?アイスに乗ってるやつと違う!という葉っぱのサイズと勢い。
しかも、だんだん黒みがかってきてすごく強そう。やわやわとした愛らしい緑は、黒光りするごわっとした葉っぱに成長。茎も太い。
そしてどんどん増える!!!!
玄関前は膝まであるミントで埋めつくされ、抜いても抜いてもどこかから生えてきてなかなか根絶できない。
アイスに乗せるくらいなら、ちいさい鉢に一株で良かったし、アイスに乗せるなんて1年に1回やるかやらないかのことだったよ、と我に返ってミントは全て撤去しました。
素敵な庭をもっている友だちに「ミントは増えすぎるから植えるなら鉢か株の周りを何かで囲っておかないと」。そう教えてもらってからは、底が割れてしまった鉢を半分地面に埋めて、ミントの中でも比較的ちいさく育つアップルミントをその中で育てるようにしています。
ちなみに、最初に私が植えてしまったミントはペパーミントと思われます。ミントの中でも繁殖力が強くて、葉っぱもあんまり可愛くないやつでした。
3.タイム・マジョラム・オレガノ
玄関前にはミントの代わりにタイムを植えてグランドカバーに、背の低い花壇にはマジョラム、オレガノ、カモミールを植えていよいよハーブガーデン生活スタート。
タイムは踏んでも大丈夫なくらい元気なハーブで、ちいさな葉っぱ、ちいさな背丈で、ピンク色のちいさな可愛らしい花が咲きます。
グランドカバーとしても文句なしの広がり具合・・・でも、広がり過ぎ…タイムよお前もか。
タイムはよくみつばちを呼ぶのでそのまま放置していますが、踏まれないところは思ったよりこんもりしてきちゃうのと、冬場は茶枯れてちょっと見た目が悪くなるのと、長く育てていると茎がごわついたワイヤー状になってきて、これもやわやわとしたグリーンとは言い難い手強さです。
マジョラム、オレガノは料理に使うべく、ちゃんと調べてから買ってみた苗。
ちゃんと根付き、みるみる大きくなり、藪と化した以外は文句なしの育てやすさ。
問題は両者がとても似ていること。株と株の間はそれなりにあけて植えたのに、予想を上回る育ちっぷりでもうどっちがどっちかわからない。
花も咲くし、夏はそれでも可愛いけれど、冬は茶色く枯れ、もはや草とは思えないくらいの丈夫な枝だけが、がさりと残りすさまじく荒れた気配になります。
全力で引っ張っても抜けないし、枯れているのに折れない枝。よく切れるハサミじゃないと剪定もできない強さ。
ハーブってこんなに手強かったのか・・・
このあたりでようやくガーデニング雑誌なるものを買い、ハーブについてもう少し調べてみたところ、、、
ハーブは柔らかいちいさな草で、良い匂い、あるいは料理に添えて楽しむ風味のある植物・・・という私の解釈は完全にイメージが先行したもので、
実際のハーブはほぼ雑草、もしくは野草の生命力をもち、1年を超えて育てるとその茎はしばしば「木質化」し、草でありながらほぼ「樹木」に近いナニモノカになってしまうということをやっと知ったのでした。
ちなみに、タイム・マジョラム・オレガノとも私の食卓に登場することは一度もなく、庭の主として私を困らせつつも花の時期は可愛いやつとしてまだ生き残っています。
4.ヘンルーダとカモミールに虫が!
それでもあきらめない私は、更にヘンルーダとカモミールを庭の仲間に加えます。
ヘンルーダはルーとも呼ばれるハーブで、虫よけによいらしいと聞いてとあるイベントで購入。
植えるとにょきにょきと伸び、こやつも白っぽく「木質化」してきたうえに、ぜんぜん虫よけにならない。むしろ、変な匂いがして私がよけたいくらい。
しかも毎年わんさかアゲハの幼虫がつき、側に寄ってうっかり触れると威嚇する幼虫からも更に変な匂いがします。
冬は白く立ち枯れて、とても折れやすいためこちらも荒れた庭の印象に一役買っています。
春先の葉っぱはレース状に広がり、黄色い花も愛らしいのですが幼虫軍団と匂いに耐えられなくなり最近抜いてしまいました。
そして有名なカモミール。こちらは木質化していないようです。花もとっても可愛いし、お茶は苦手だけど庭花として楽しめれば…と植えました。
でもその途端に恐ろしい出来事が。
それは、上から下までびっしりと隙間なくカモミールを覆いつくすアブラムシ!
気持ち悪いのに目が離せないほどのアブラムシの集合体!!
集合体恐怖症の持ち主なら卒倒するほどのみっしりぎっしりアブラムシ!!!
その上に可憐に咲くカモミールの花・・・・
何度か薄めた牛乳をまいたり、アブラムシにきく薬をまいたりしましたが、アブラムシって死んでもそのままなんですね。怖いことに。
動かなくはなるけど、カモミールにひっついたままお亡くなりになっているようで、見た目はびっちりアブラムシ・・・・
カモミールはうちに来て最速で抜いたハーブとなりました。
5.ローズマリーの裏の顔
いよいよハーブ遍歴も最後です。
といっても、実はローズマリーはミントと同時期くらいに植えた初期メンバーなのです。
なんといっても名前が可愛いし、ハーブとしても有名だし、買ったときに咲いていた花がそれはそれは愛らしかったのでひとめぼれして連れ帰ったのです。
これもごくちいさな苗で、ポットからひよひよと1本伸びた枝にブルーの花がついていました。
ポットには暑さ寒さに強く、花はいつでも咲くと書いてあって、ほんとうに冬も夏も花は咲きます。
しかし、ローズマリーはその優し気な名に反して「木質化」するハーブの親分だったんです。こんな可愛らしい名前なのに!!
これは「木質化」とは言わないと思います。声を大にして言いたい。
ローズマリーは「樹木」です!!ほっといたら2メートル近く育ちます。
幹は完全に樹!茶色く、硬く、太いところでは8㎝くらいの直径になります。
枝もどんどん硬くなり、数cmの太さで腕を伸ばし、葉っぱはどんどん色濃く強そうに育ち、ほんの枝先20cmくらいがやわやわとしたあのハーブらしいグリーンに。
株が大きくなると内側は枯れ落ち、外側から剪定していくと醜くひねこびた幹と枝ばかりが残り、その強すぎる枝はゴミ袋を突き破るため切った後更にこまかくハサミで切らないとなりません。
そんな木質化大親分のローズマリー、これが実はハーブとして初めて役に立ったうちの子になりました。
ローズマリーにはほの甘い清涼な香りがあり、葉っぱは触るとべたべたするほどオイリーです。
この葉っぱからローズマリーの抽出液をつくり、粉せっけんを溶かしてはちみつを加えると、シャンプーがつくれるのです。
このシャンプーが有能で、ハンドソープ、食器洗い用洗剤、ボディーソープ、洗顔、なんにでも使えて使用感がよく、肌が荒れにくいためうちではこれだけで家中の洗剤をまかなっています。
いやほんと、こういう生活をしたくてハーブガーデンをつくろうと思ったのに、結局あれこれ植えたうち(ここに書ききれなかったハーブもまだたくさん)、ローズマリーしか使いこなせていないばかりか、ローズマリーだってほんとは料理、お茶、お菓子、化粧品、入浴剤その他いろんな使い道があるというのに…
6.おわりにーー
あこがれた繊細で優雅なハーブガーデンは、ややもすると耕作放棄地かジャングルか、という様相で元気に好き勝手に勢力を拡大中。
ガーデニングを楽しむはずが、家事と仕事に追われて草取りが精いっぱいの現実。
でも、ぜんぜんお手入れもしないし水も肥料もやらなくてもハーブって育ちます。もともと大して良くない庭土の我が家では、花や植栽は弱りがちだけどハーブだけはいつも元気。
植える場所と種類をよく選べば、手間がかからなくてけっこうおすすめな庭メンバーですが、くれぐれも売られているときの姿に惑わされないように。本性は手強い野草ですから!
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