夜空を見上げると、私たちは無数の星を見つけます。
昔の人々は、その星々をつなぎ合わせ、神々や英雄の物語を想像しました。
もし、その星座が実際に世界の運命を動かしているとしたら――。
「アストロロジカルクロス」は、星座や神話をモチーフにした世界を舞台に、賞金稼ぎの青年と一人の少女の出会いから始まる冒険ファンタジーです。
星が輝き続ける幻想的な世界で、二人はどんな運命に導かれていくのでしょうか。
本記事では、第1巻の一部を無料公開します。
星のきらめく常夜の世界で
星のきらめく常夜の世界で
空に輝く無数の星。人々はその星と星をつないで、星座を作ったと言います。星の形を神話の神様にたとえ、星のような無数の物語を語り継いでいったと。そしてそれを聞いてはまた空を見上げ、英雄達に思いをはせていたと。
だからでしょうか。人々がいつの時代になっても、星を見ることをやめないのは。
そしてそれはこの世界でも同じで、人々は困ったとき、迷ったときに空を見上げ、頭上に輝く星達を見ては神様に思いをはせるのです。空に浮かぶ星々はいつでも輝いて、人々を見守ってくれているのですから。
この物語は、そんなきらめく星が瞬いている空の下、とある荒れ果てた荒野から始まります―――。
ババババ……。
雲ひとつない空の下。満点の星に見守られながら、広い広い荒野でバイクを走らせる一人の男性。鉢巻のように巻いたバンダナ。がっしりとした肩幅に、褐色の肌。こげ茶色の髪をなびかせ、大きなバイクを走らせる様子は旅慣れているように見えます。ずいぶんとスピードを出しているのでしょうか、バイクの後ろには土ぼこりが立ち、ハンドルにかかったゴーグルがパタパタはためいています。
時間帯は夕飯時でしょうか。普通なら日が落ちて、荒野を吹く風は冷たくなってくる時間帯です。けれどもこの世界にはあまり関係のないこと。時間と言う概念はあっても、この世界には太陽がないのですから。朝になることのない、太陽の昇らない世界。いつも空には星がきらめいていて、好きな時に眺める事ができる世界。それがここに住む彼らにとっては普通で、疑問を抱くことすらないのです。
さあ、ようやく男性が町に近づいて来ました。ごつごつした岩とサボテンばかりの荒野の中に、明かりが見えてきたのです。彼を乗せた大きなバイクはそのまま、低い音を立てながら町へとまっすぐ進んでいきました。
さて。彼が見た町の様子を、少し先回りして見ていましょうか。木材で造られた町並み。建物の入り口は皆地面よりすこし高くなっていて、樽や木箱が積まれています。幌馬車の修理をする男性。そばにいた馬が乾いた風にぶるるっと首を振ると、男性はにこにこしながら頭を撫でました。
「おっと、冷えちまったかな?」
けれどそんな優しい表情も、向かいの酒場から聞こえてくる大声で怪訝な顔に変わりました。
「どこ見てるんだ、おら!」
「やれやれーっ!」
「いいぞ!」
怒声が響き、それをはやし立てるような声もします。大方喧嘩でしょう。
「まったく……」
男性は嫌そうな目で酒場を見ました。
「毎日毎日、飽きないもんだよなあ。お前もそう思うだろ?」
ぽんぽん、と触られても、馬はただ優しい眼差しで男性を見るだけ。もう慣れちゃったよ、と言わんばかりです。それくらい、この町での喧嘩はよくある事でした。酒場でならなおさらです。手配書が配られているような悪人も、その悪人を捕える賞金稼ぎも、平和に暮らす善良な町人も皆同じ場所でお酒を飲むのですから、いざこざが起こるのは日常茶飯事でした。
「うおー!」
「二度と顔見せるんじゃねえ!」
大きな笑い声と歓声。
「畜生!」
悪態をついて、酒場から一人の男性が出てきました。頬に手を当て反対の手で帽子をきゅっと抑えながら。その背中はすっかり縮こまっている様子でした。
ここは、天秤座の国。無法者や賞金首が多くいる国のうちの一つです。しかも国の首都である天秤座王国から離れたここらの町は、治安を守る保安官もあまり力を持っておらず、悪人に手を焼いていました。彼らの頼みの綱は賞金稼ぎだけ。最も、街頭に張られた手配書も殆どが破かれて使い物にならない状態なのですが。
そしてそんな町に彼はやってきました。バイクの低い音が止まったのは酒場の前。すっとバイクから降りて、ポケットをまさぐります。葉巻に火をつけ、ふうと空を見ながら煙を吐き出しました。無数の星に向かって煙が上がっていきます。あまり風のない夜です。
彼は名をアルフレッド・カズンズと言い、賞金稼ぎをして生計を立てていました。中々腕の良いガンマンで、彼を知る人間からは『荒野の獅子アルフィー』とも呼ばれています。治安の悪いこの天秤座の国も、彼にとっては丁度良い稼ぎ場所と言ったところでしょうか。
がやがやと明るい笑い声やおしゃべりの声が聞こえる中、彼はしばらく静かに葉巻をふかしていました。今日一日じゅうバイクを運転していたので、ちょっと休憩したかったのです。そして、吸い終わった葉巻を地面に転がし足で踏んだ時。
バキュン!
(なんだ……?)
酒場から響いた銃声に彼の足もぴたりと止まります。どうしたのでしょう。いくら酔っ払いが喧嘩を始めたとしても、よほどの事でないと銃なんて抜かないはずです。ふう、と煙の代わりにため息を吐いてアルフィーは酒場の扉を開けました。
中はしいん、と静まり返っていました。先程までの騒がしさが嘘のようです。空気もぴんと張りつめていると言いますか、彼が扉を開けた音が部屋の隅まで響くように感じられました。
「もう一度、言ってみろ」
酒場の奥のカウンターでは、店主の女性に銃を構えた男性がいました。答えの声は震えています。
「ほ、ほ……本当なんだよぅ!マカツブランデーはその、き、切らしちまってて……!」
「切らしてるぅ?なら今すぐ買って来たらどうだ!」
どすの聞いた声で、男性はこう言います。
「俺は『赤い拍車のロックビル』だぞ?それを分かってて言ってんだよなあ?」
アルフィーのいる入口付近のお客さんが小声で会話します。
「マカツブランデーって、今あんまり出回ってないんだろ?」
「酷いわねえ。あなた、文句言ったらどう?」
「馬鹿言っちゃいけねえよ。相手は赤い拍車だぞ。奴の首にかかった懸賞金の額、見たことあんのかい?」
そんな会話の横を過ぎ、アルフィーは奥のカウンターへ近づいていきます。ギシギシと音をたてる木の床。おい近づくなよ、と言わんばかりのお客達の視線が刺してきます。しかし彼は何も臆することなく、どかっと赤い拍車ことロックビルの横に腰をかけました。
「姉ちゃん、俺にも酒を貰えないか?」
えっ、と挙動不審になる店主。ロックビルもギロリとアルフィーを睨みます。
「なんだお前。目ぇ付いてんのかよ、えっ?」
「ああ付いてるさ。だから言ったんだ。酒を出すならこんな世間知らずの田舎者より俺を優先して貰いたくてな」
「なんだと!」
銃口を店主からアルフィーへ向けるロックビル。
「殺されてえのか、お前!」
女店主が息を飲み、ひいっと辺りからも小さな悲鳴が上がりました。けれど、次に悲鳴を上げることになったのは、ロックビルだったのです。
「失せろ」
静かな声でした。でもそれで、十分でした。
「脅しで簡単に銃を抜くような奴に、用はない」
堂々としたその物言いとアルフィーの眼力にすごまれて、彼は思わず席を立ちました。その目が、声が、振る舞いが、獅子を思わせたのです。今は飢えていないだけで、本気を出せば自分など軽く食われてしまうだろうと。銃を持つ手が震えだし、ついには下げられました。
「こ、この野郎……」
口調はさして変わりはありませんでしたが、もうすっかり気おされて、アルフィーに立ち向かう勇気など残っていないようでした。悪態をついて銃を腰に戻すと、そのまま逃げるように酒場を出て行ったのです。
「覚えてやがれよっ!」
ギイッと乱暴に扉を開けて出て行ったその後姿を、お客達は不思議そうな目で追いかけました。そして今度はアルフィーの方を見る番です。
「いまあの男、なんかしたか?」
「いや何も……」
遠目で見ていたお客には、彼の迫力が分からなかったようです。こそこそ、と少し話した後は、何事もなかったかのように元の明るい声を上げ始めました。
「ありがとうね」
女店主が恥ずかしそうに言いました。
「助かったよ」
いやなに、とアルフィーは笑います。
「どうって事ないさ。さて、俺の注文は覚えてるだろ?」
「ええ勿論。あたしのおごりだよ」
グラスにお酒を並々注いで、彼女は
「でも、びっくりだねえ。あの赤い拍車が怖くないのかい?」
カウンターに並々つがれたエールが置かれます。
「わかった。あんた、この辺のもんじゃないんだろ?」
「こりゃ、こんなところに名探偵がいたもんだ」
「だてに長く酒場の店主やってないよ。人を見る目は良い方なんだ」
にやりとして、アルフィーは言います。
「確かに、ここら辺に来るのは随分久しぶりでな」
がやがやとした店内。それをちらと見て、女店主は
「だろうねえ。ここらの人間は、皆赤い拍車を恐れるもんさ」
「有名なのか?」
「そりゃあ、あんた……行く先々で難癖つけて、銃の腕も中々のもので、賞金稼ぎが首を狙っても仲間とつるんでうまく逃げるような男の賞金がリンゴ一個、って事はないだろう?」
へえ、とアルフィー。どこか馬鹿にした様子です。
「でも大した事はないな。俺は今まで色んな町を回ってきたが……銃を引っさげただけで、強くなったつもりでいるような奴に、本当に強かった奴はいない」
くいっとエールを飲みます。
「そうだ、この辺に宿はないか?今夜泊まる所を探してるんだが」
女店主は肩をすくめました。
「残念だけど、この町の宿は今休業中でね。それも赤い拍車のせいなんだけど。宿の主人、奴に絡まれた時に撃たれちまってさ。今寝込んでるんだよ」
はあ、と彼はため息をついて、短いあご髭に手をやり
「確かに、リンゴ一個で片付くような奴じゃないな……迷惑な話だ。それじゃああれか?ここに来た旅人は皆困ってるんじゃないか?」
「でしょうね。大抵野宿でもしてるんでしょう。でもま、最近は天害のせいで旅人なんてめっきり減っちゃったけどねえ」
天害というのはこの世界に住む化け物で、荒野を行く旅人の悩みの種のうちの一つでした。言葉も通じず、そもそも理性があるのかも分からない彼らはどこからか現れて人間を襲うのです。その理由も生態も、はっきりしていません。だからこそ、余計に恐ろしい化け物なのでした。
「しゃあないな」
頭をぽりぽりかくアルフィー。
「じゃあ軽食か何か頼む。今夜はもうひとっ走り、しなくちゃならないみたいだしな」
「はいはい」
そう言って女店主はメニューを取るためカウンターから背を向けました。ざわざわとした人々のおしゃべり。スパイスの匂いでしょうか、厨房からは食欲をそそるいい香りがしました。そう、それこそ先程の出来事でさえ夢だったかのように酒場は暖かな喧騒に包まれているのです。
相手が赤い拍車でなければ、そして自分達にさえ火の粉が降りかかって来なければ―――この荒野の世界では小さな『いざこざ』なんて誰も気にも留めないのでした。
荒野、夜、そして天害
その後しばらくして、アルフィーは葉巻をふかした後バイクにまたがりました。がさがさしていて大きな手。その手にきゅっとハンドルを握ります。
(この調子だと……明日の昼過ぎには着くな)
彼の目的地は天秤座の国のとある町、キルローグ。彼はその町に古い知り合いがいました。知り合いはとても腕の良いメカニックでしたから、バイクの整備をしてもらおうと思っていたのです。定期的に整備をしないと、この広い荒野で突然止まってしまうなんてことになりかねません。それにアルフィーはこのバイクをとても大切にしていました。旅を始めてからずっと彼を乗せて走ってきたバイクは、彼の相棒でもありましたから。
(よし……行くぞ)
ババババ……。
低い音をたてて、バイクはアルフィーを乗せて走り出しました。明かりの灯る街並み。人々がそろそろ眠りにつこうとする頃、彼はまた旅立ったのです。
(今日は行けるところまで行って……野宿だな)
そんな事も彼は慣れっこでした。旅を始めて約三年。酒場の女店主は旅人が少なくなったと言っていましたが、彼は賞金稼ぎでしたから色々な町を転々とするのです。そして行った先にいる凶悪なお尋ね者を捕まえて生活しているのでした。
ババババ……。
砂埃を巻き上げて、風をまといバイクは進みます。町の入口の看板にかかった縄が、風でゆらゆらと揺れました。町を出るとあたりは一面の荒野。また彼は、この岩とサボテンとちょっとの草しかない荒野を走ります。乾いた風がほほをきりました。
(赤い拍車、か。次のターゲットは『砂塵の牡牛』だったが、こいつも悪くない)
誰にしようか選べる程、賞金首はたくさんいました。それこそその賞金額も幅広いのですが、この世界にはそういったお尋ね者と称される悪人はたくさんいるのです。そしてそれを狙ったアルフィーのような賞金稼ぎがいて、命を落とす事があるのも事実。まさに賞金稼ぎとは、自分の腕一本を信じて食つなぐ仕事なのです。
しばらくアルフィーは一人星の下、バイクを走らせていました。そしてそろそろ今日は休もうかと考えていた時の事。大きな自然のアーチ状になった岩の間を潜り、大急ぎでこちらへかけてくる男性二人を見つけたのです。その二人は必至の形相でしたが、アルフィーを見つけるなり足を止め
「あっ、あんたあんたあんた!」
手をぶんぶん降ります。
「お、おい。どうしたんだ?」
アルフィーも思わずバイクを止めます。男二人は落ち着かない様子で後ろを気にしながら近寄ってくると
「バックバック!帰った帰った!」
早口にまくしたてます。
「天害!天害だよっ!」
「天害?」
アルフィーが聞き返すと、男二人は今にも走り出したい様子で
「あんちゃんも逃げないと!」
そこに、ドゴォン!という音が響き渡り、前にあったアーチ状の岩がバラバラに崩れました。そして姿を現した、巨大なトカゲのような化け物。
「ほっ、ほら来たあっ!」
「天害だあっ!」
男二人はわき目もふらず一目散に走り去ります。その場に取り残されたアルフィー。トカゲの化け物はゆうにアルフィーの二倍もの身長があり、二本足で立っています。鱗の肌はピカピカ光り、黄色い目はギラギラ。グアア、と威嚇するように声をあげます。
「ったく、おでましか」
アルフィーは腰のホルスターから銃を取り出しました。ピカピカに磨かれた銃。獅子の装飾が光ります。それを見てかトカゲの化け物、いえ、天害はまたひと鳴きすると飛びかかってきました。前足を使ってずずずっと荒野を滑るように。すごい速さです。とっさにアルフィーはバイクを走らせそれを避けると、左手だけでハンドルを操作しながら右手で銃を撃ちました。弾は鱗に弾かれ鈍い音をたてます。まるで分厚い鎧のようです。
「くそっ、無駄に固い鱗だ」
グアア、とトカゲの天害は声を上げながらアルフィーを捕らえようとするのですが、彼を乗せたバイクは蝶のようにひらりひらりとその爪を避けるのです。そしてその隙に、アルフィーは鉛玉を打ち込みます。
カン!カン!
しかしやはり、この天害の固い鱗には通用しません。弾かれるばかりで、どうも傷ついたり怯んだりという様子もないのです。
(銃じゃ無理か……!)
ホルスターに銃を押し込んで、アルフィーはハンドルをぎゅっと握りました。そして距離を取ります。天害はこっちにこいよ、とばかりに威嚇。
(なら、撒くしかない!)
アルフィーは正面に天害を捉え、猛スピードで突っ込んでいきました。土埃がぶあっとあがります。天害が飛びかかろうと構え、距離が縮まり、引き付けて引き付けて、今まさに飛びかかって来る―――そこで、きゅっとハンドルを切り進行方向を変えました。
キキキキキイッ!
バイクが悲鳴をあげます。その動きに驚く天害。そのうちにアルフィーは大きく旋回すると、壊れた岩のアーチを越えて先へと進んだのです。とっさの事に反応が遅れたのでしょう。天害は後ろから慌てて追いかけてきます。もう躍起になってバイクを追います。中々のスピードで、距離が開きません。
(そうだ……それでいい)
アルフィーは後ろを見てそれをちらと確認します。そして腰のベルトに下げたポーチから小型の手りゅう弾を取り出すと、後ろに向かって投げたのです。手りゅう弾は近くの崖のように背の高い岩のそばまで転がって爆発を起こしました。そしてその爆発の影響で、岩は天害の目の前へ崩れ落ちたのです。
ドガァン!ズズズ……。
背後でそんな大きな音が聞こえてからは、アルフィーは振り返りませんでした。前をしっかり見て、スピードを落とさずに進みます。いま振り返っても、土埃でろくに見えないだろうと分かっていたのです。ようやく岩と土埃という邪魔がなくなってトカゲの天害の視界が確保できた時、すでにアルフィーのバイクは見える範囲にはいませんでした。
(よし、撒いたか)
しばらくしてアルフィーも後ろを振り返ります。こちらからも、もうその恐ろしい姿は見えません。
(全く……銃が効かないとなると、今の俺には打つ手がないな)
先ほどの鎧のような鱗を思い出して、顔をしかめます。あたりはすっかり静かで、もうさっきのような化け物の姿は無いようでした。天害、というあの化け物はこの世界における最も恐ろしい生き物です。正直、生き物と言ってもいいものやら分からない程です。
様々な姿形があり、群れを成すものから一匹で行動するものなど様々。詳しい事は分かっていませんが、主に地中や洞窟に住み、文明も言葉も持たず、ただひたすらに破壊と殺戮を繰り返す化け物としてこの世界の人間には恐れられているのです。理由は分かりません。けれど生きとし生けるもの、この世に存在する全てを破壊しつくすことが彼らの目的のようでした。
(こうも天害が多くちゃ、旅人も減るわな)
それと、減ったのは旅人だけではない事をこの際伝えておかねばなりません。天害と同じく人ではないながらも、人と共存し手を取り合っていた存在、星ノ子。彼らは不思議な力を持っており、人間には到底真似できない魔法のような力を持っていました。しかし天害がこの世界に現れて以来、その姿を見ることは稀になったのです。どうやら天害は星ノ子をよく好んで狙うようで、彼らによって星ノ子は絶滅寸前まで追いやられたと言われています。アルフィーも未だ会った事は無く、伝説の中でだけ生きるそれは人によっては存在自体が疑われている程でした。
ババババ……。
バイクは変わらず低い音をたてています。ハンドルに目をやるアルフィー。パタパタ、と引っかかったゴーグルがはためいています。
(さっきハンドルを切ったとき、タイヤの音がちょっと変だったな)
天害に襲わたのももう何度目でしょうか。彼はその度に銃で応戦するのですが、この相棒であるバイクにも負担をかけてきました。
(やっぱり、キルローグでちょっと整備してもらわないと)
旅人を脅かす天害。それはこの世にはびこる悪や、賞金首なんかよりもよっぽど、人間達に恐れられていたのです。そしてそれがために、人々は世界に町を点のように作り固まって暮らすほかないのです。
(奴の仲間がいるとまずい。今日はもう少し、走るかな)
少しスピードを落とし、周りを警戒しながらアルフィーは先へと進むのでした。
続きを読む
おわりに
「アストロロジカルクロス」第1巻は、
「星に導かれる世界」という幻想的な設定と、
荒野の賞金稼ぎと謎の少女という魅力的な組み合わせが印象的な冒険ファンタジーです。
物語はまだ序章ですが、
✅ 星座をモチーフにした壮大な世界観
✅ 運命に導かれるキャラクターたち
✅ これから広がる大きな物語の予感
といった要素がしっかりと描かれています。
星や神話、冒険物語が好きな人にとって、この作品は「星の物語の入口」になる一冊といえるでしょう。





